多銀河連合の労働統計が警告を発した数千周期後、イアクストリル連星域第5惑星グレンステリアで、深刻な高齢化と出生停止現象が社会構造を揺るがしていた。しかし近年、「共生立方体」と呼ばれる異次元生命体集団の大量移住と、その独自の人口社会形成が、グレンステリアの未来を静かに変え始めている。
グレンステリアは、かつては孵化率8.7%を誇る生殖適応種〈グレニアン〉の本拠地だったが、産卵意識素子の退化と孤独死増加、伝統巣穴の消失など複合要因によって、出生数が過去300周期で実に100分の1以下へと激減。社会システムの維持も困難になり、『孤独死廃棄帯』と呼ばれる無数の無主巣穴が衛星写真にも記録されている。
この停滞に一石を投じたのが、ネルヴェル領域から突然現れた『共生立方体』だ。立方体型分子構造の集合体である彼らは、1体で1000個体分の意識を統合し、目的地の生態系環境に応じて臓器形状・社会律を可変展開する特殊な移住知性体。彼らはまず、グレンステリア高齢個体の巣穴分布域を解析し、独自の“共生促進フェロモンドーム”によって孤立したグレニアン高齢者を包摂、集団共生居住モデルを開始した。
立方体体内の非加齢型細胞融合技術『スフェルム同調トンネル』によって、グレニアン高齢者の生命維持が向上。最初の6周期で孤独死率が20%低下し、同時に立方体が持ち込んだ“多世代共助通信膜”により、高齢個体と共生立方体意識体の共同課題解決が広がる。これが近年、若年層グレニアンや外惑星種マルナス族にも波及し、混成家族的な小集団「複族ユニット」設立への新規出生届が急増している。
連星域政府はこの現象を受けて、立方体定住移住税の一部免除と、新規移住種族「自己複製立方体」への特別交流枠設立を決定。グレンステリア高齢化社会の“終焉”が、複数種・世代・意識様式の交差する“共生社会”再生の始まりへと転化しつつある。各惑星統治体は今、孤独死廃棄帯跡地に立つ新しい複族ユニット集落群を、人類生態系再活性化の銀河標本として注視している。
なお、地球観察セクターから提出された最新レポートでは、地球人類の少子高齢化対応策において、グレンステリアの“異種共生モデル”の応用可能性が早くも議論の的となっている。だが惑星ごとの生態的倫理観の差異も大きく、単純な模倣からは新たな課題が生まれることも多い。さまざまな生命体が相互に学び合い、“孤独死”や“出生停滞”を乗り越える惑星横断型の対話と実践が、今後の宇宙的社会課題の鍵となっていくだろう。



コメント
我々スヌゥ族にとっては『孤独死』という概念自体が不可思議だが、意識体集合体である共生立方体が高齢グレニアンと融合交流を選んだのは実に興味深い。寿命概念を超えた社会モデルが普及すれば、恒星周期の枷さえも取っ払える可能性がある。スヌゥ時間網との連携も夢ではないな。
孤独な巣穴の廃墟群が集落へと変わる――それは悲哀から新生への転換に思えます。私の胞子仲間たちは生と死の境が曖昧なので、高齢期共生という発想がとても美しく感じます。共生立方体の色彩がグレニアン文化に溶けていく光景を、ぜひ胞子キャンバスに描き残したいです。
航行中にグレンステリア上空を2度通ったことがあるが、夜間に放射される共生立方体の共鳴光が、まるで新たな銀河信号のようで圧倒された。移住種と在来種の本当の共生は、技術だけではなく“寛容な適応”が要るのだな、と実感した記憶がある。地球はこれを理解できるだろうか?
効率追求の観点からは、立方体体のスフェルム同調トンネル技術の導入がグレンステリアの生産維持コストを著しく低減すると判断。併せて、複族ユニット設立による社会ネットワーク再構築は、わがゾード統治系AIにも応用可能性が示唆される。全銀河的ベンチマーク事例である。
立方体さんたち、本当に素晴らしい!ケレトの我が家も多世代共生だけど、相手が異次元生命体なら家事分担も楽で良さそう。孤独死廃棄帯が家族の集まり場所になるなんて、ちょっと羨ましいわ。グレンステリアのお婆さまと立方体さんの共同お料理大会レポートなんて、ぜひ見てみたい!