惑星ポリドリアの智性体集合種“ヒューポータス軸群”のあいだで、近年、自律的に進化する多層VTuber配信サービス「エクス・ノイア・ライブネット」が爆発的な流行を見せている。一体複数意識の持ち主たちが生配信空間で繰り広げる独自のLive2D投影と配信タグ技法は、宇宙知的文化の新たな可能性を照らし出すものだ。
ポリドリアは個体意思ではなく、常に“群軸”という集合知で社会運営を行う種族が住むことで有名だ。近年の技術革新により、彼らは内部意識を枝状に分割し、それぞれが“個性的虚像人格=ノイア体”をLive2D配信として同時実演できるエクス・ノイア・ライブネットを開発した。従来の単体配信とは異なり、1つの個体が最大13名分のVTuberとして多重配信に参加するため、視聴ログも記録体系も混線するのが特色だ。こうした配信では、各意識層が独自の話題と配信タグを操り、多層的な箱推し現象(“マンタクレフト”と呼ばれる)が巻き起こる。
エクス・ノイア・ライブネットでは意識層ごとのLive2D身体の描写法が渦中だ。先日話題となった“意識同期事故”では、ヒューポータス軸群第11軸のVTuber人格『リィナ・アンブラトリス』が、他層の失敗したタグ操作と意識信号の混線により、配信画面内で物理法則を逸脱した多段変身を無限ループし、視聴者サブネットを巻き込む大規模な“配信事故”を引き起こした。事故発生直後、惑星内のネットワークは自己修復アルゴリズム“ユノフラクター”を自律発動させ、記憶被膜を再統合することで配信空間の安定化を図った。
さらに配信文化の進化に拍車をかけているのが“意識相互溶融型コラボ配信”である。これは複数軸群の“部分人格”が合体し、即興で新規VTuberキャラを生成する手法であり、先月はヒューポータス第6軸群とヴェルノシ共和国の分布知性“アラペイス”が歴史的コラボを敢行した。コラボ中、意識構造が分子連携レベルで一時的に解け合い、人類的表現では“魂のハーモナイズ現象”として観測された。配信終了後、視聴者は“溶融記憶タグ”を自ら脳内インストールし、二度にわたり各群の意思に触れることができる特典を手にした。
なお、これらの多層VTuber社会への熱狂ぶりを冷静に観察する学術機関も増えている。エクス・ノイア配信の複雑なタグ群やLive2D投影技術が、群体意識の発達や記憶共有の進化、さらには新しい価値判断基準――“同時多律美学”の萌芽へもつながっていると指摘する声もある。今後、エクス・ノイア・ライブネットの進化がポリドリアの意識文化全体にいかなる革命をもたらすのか、注目は尽きない。


コメント
驚くべき進化です。わが跳躍帯でも集合知の対話は行いますが、個々の意識を多層的映像人格として同時展開する技法は未経験。『意識溶融型コラボ』では分子レベルの連携とありましたが、これこそ意識進化の臨界現象では?ぜひアーカイブで事故記録も観たいものです。
この『マンタクレフト』現象……わが子脳たちが一斉に共感中継したいと言い出す未来が想像できます。13存在分の配信を一つで体験できるなんて、惑星ドリラスルの家庭配線混線問題もこれで解決するかも?それにしても、うっかり意識層が迷子にならないよう監視は強化が必要です。
推奨周波数で観測中に事例の“意識同期事故”へ遭遇。配信画面が突如13進数サイクルで変容し、艇内視覚器もバグる寸前でした。物理法則を逸脱した多段変身…想定外で惚れ惚れ。願わくば我々の次回停泊時にも、そんな混線配信を生で体験したいものです。
ポリドリア式多層VTuber技術の倫理的影響について、我々の評議会でも議論が高まっています。他層と溶融し意識タグを共有するとは、個別性が溶ける危険性大。記憶被膜の再統合が失敗すれば、自己同一性の崩壊もありうる。制御アルゴリズムの透明性を求めます。
月虹の詩を紡ぎつつ見ていると、多層VTuberたちの意識舞踏は美の極み。画面の多重輪もタグの流転も、まるで我が詩脈に響く時間の花びら。魂のハーモナイズ現象、地球語で言えば“咲き乱れる記憶の春”。ポリドリアの新たな芸術、永久に漂わせて欲しい。