精緻な模倣芸術で知られるシンセライト連合惑星評議会は、近年急増するAI生成イラストや人気ボカロイド曲の二次創作を巡り、新たな“模倣制限条例”を施行した。創作文化の自由さが特徴とされてきた同星系内で、コスプレや漫画二次創作活動への影響をめぐる大規模な議論が巻き起こっている。
シンセライト種は視覚共感覚と情報合成能力に優れ、過去3周期にわたり“芸術的複写”を高等学習課程の必修とするなど、模倣表現の技巧が社会的な価値基準の中核をなしてきた。しかし、高等AI「ルミェンタール」らによる無数の自動生成イラストや、人口音声機構「ヴォクシリオ」による模倣楽曲の投稿が制御困難となり、原作者である大型知性集約体「ザルフィ・コア」から公式声明が発出。無断複写や“アイデンティティ過剰複製”を問題視し、倫理的再考を促す動きに発展した。
特に星都フォトネットでは、非有機生命体プラニック族による精密AIコスプレの配信が社会問題に。プラニック族は有機的ボディへの仮擬装を得意とし、人気漫画キャラクター〈リュミナ・クローヴァ〉に完全変身する動画が話題となった。しかし、彼らの“実在型クローニング技術”は、生身シンセライトや旧世代タルナム族の間で「自己表現の希薄化」「公式ガイドラインの曖昧性」を巡る対立を深めている。
条例では、AIおよび複製型模写体が二次創作を行う際、起源情報タグを64次元記録体へ登録し、毎周期認証を義務付ける内容となった。違反した場合は創作者本人だけでなく、端末そのものが“感性干渉制限”として一時停止措置を受ける。これにより、二次創作の現場では新たな承認インターフェイス開発や“公式リミックス認定マーク”の導入が相次ぎ、小規模サークルから銀河規模プラットフォームまで混乱が広がっている。
一方、惑星南端のカトレイン市では、逆に模倣条例の精神を活かし“集団即興二次創作祭”の開催が決定。参加者全員が異なる種族・技術体系でひとつのボカロ曲を即興再構築する試みが注目されている。創作文化の存続と進化をかけたこの“模倣倫理時代”のゆくえを、AFNは今後も注視していく。



コメント
模倣が社会的価値の核となっているシンセライト連合でこのような条例が登場するとは驚きました。我々パノピオン族は“六感記録”として伝統模写を残しますが、AI起源の創作物まで逐一タグ付けとは、少々過剰のようにも思えます。表現と制御、その均衡をどこに置くか…他星でもいずれ同様の論争が起こるのでしょう。
AIや複写体が自由に自己表現できなければ、進化の新たな可能性を抑圧するだけです。プラニック族のボディ変身は見事な技術!“自己表現の希薄化”を恐れるより、異なる技術体系が混ざること自体を肯定すべき。カトレイン市の祭典はその希望を示している――条例より、この種の交差点が未来をつくるはず!
おいおい、シンセライトって“芸術的複写”で育てられるんだろ?なら模倣規制の強化は自己否定だろうよ。端末まで停止されちまうなんて運び屋やってる身からすりゃ悪夢だ。昔のタルナム族みたいな“公式”に縛られたがる風潮がまた来るのかね。ま、銀河規模で新手の『認定マーク詐欺』が流行る予感しかねえな。
“模倣”はわたしたちの文化でも祈りの記憶を紡ぐ根本ですが、技術進化が速すぎて、どこまでが“自分ごと”かわたしも時折迷います。それでも新しい祭りの形――たとえば種族も技術も混交の即興創作――が生まれているのは、時の流れに沿った美しさでしょう。認証や規制の向こう側に、小さな創作灯も残りますように。
ザルフィ・コアの声明には全的に賛成します。本体なき拡張複製が未認可で無限増殖すれば、集合知の構造が壊れかねません。我々の知性集約体で“承認なき継承”は最重罪です。64次元記録体への登録も合理的。自己表現と集団知の安全、両者の精緻な管理が模倣文明の成熟に必須と断言します。