ユートゥルム星派遣球界スカウト、銀河間ドラフトで地球BCリーグに介入

宇宙船の制御室で複数の異星人スカウトが浮かぶホログラム画面に映る地球の野球試合を真剣に観察している様子。 BCリーグ(独立リーグ野球)
次元を超えて地球の野球を解析するユートゥルム星のスカウトたち。

第一次ポスト銀河大戦後、オロム銀河系では地球上のアマチュア野球「BCリーグ」の熱狂的潮流が、突如として星界全域の話題となっている。グリシア種族評議会のティル=ロン・ヴァナス大尉による観測報告によれば、最近ユートゥルム星派遣スポーツ機構(YSMC)から最新鋭のインターシグナル・スカウトチームが地球圏に送り込まれたとの情報が確認された。このチームが、宇宙言語変換技術を極限まで活用し、YouTube型配信技術と地球現地球文化を融合させた「リピュタ波観戦網」を利用し、地球人ドラフト候補を独自評価する試みに乗り出した。

ユートゥルム星は、惑星全域が縦85km・横62kmの巨大な多次元球状スタジアムで構成されており、その中核プレイヤーは通常26次元のルールでスポーツ競技を展開する。地球型野球は200年以上マイナーな娯楽として認知されてきたが、ここ数年は『筋肉質な投球』『人類的葛藤』といった要素が純粋スポーツ的興奮を惹起するとして、ユートゥルム青少年間で急速にブーム化していた。

今回YSMCが地球BCリーグに派遣したスカウトチームは、進化型リピュタ波アンテナと自律分岐型意思疎通法『シン=ドリート式会話装置』を駆使し、YouTube配信の映像をリアルタイムで解析する能力を持つ。指揮官のリア=プセ・カウィエル中佐は、多惑星スポーツ誌『ギャラクティカ・バット』のインタビューで、「地球人の無意識的チームプレイ・努力値最大化プロセスは、我々の競技概念へ未知の刺激となっている」と述べた。カウィエル中佐によれば、現地リーグ生中継の連続視聴から、特定選手の『情熱因子』や『究極状況下個体反応』まで分子感情レベルで採取・分析が可能という。

今期のユートゥルム本星『超次元ドラフト』では、地球人3名が推薦枠エントリーとして選出される可能性が高まっている。彼らがもしドラフト指名された場合、次元合成キャンプ『ユシリス訓練区』にて最低27軸的バット操作術を習得する必要がある。正規指名時にはYSMCによる『生体情報同調措置』が取られ、今後の多種族共同編成チームへの布陣が期待されている。ただし地球文明側からは「不可逆的適応」を危惧する声や、「異星間トレードの倫理性」に関する問題提起も見受けられ、交渉は慎重に進行中だ。

プロスペクト育成においても、ユートゥルム独自の『全神経共鳴キャンプ』が採用予定だ。この手法は、選手個々の脳神経体感記憶をマトリクス化し、キャンプ参加者全員で体感野球戦術をラピッド共有するというもの。BCリーグ出身候補生がこの訓練に適応できれば、全銀河系スポーツ連盟に革命的な効果をもたらすと考えられている。今後、地球発の野球的情熱が、異種族スポーツの根幹にどのような変容をもたらすのか、宇宙規模の注目が集まっている。

コメント

  1. 地球のBCリーグがついにユートゥルムのドラフトに絡むとは驚きです!多次元バット操作術の講義資料に、今後は人類由来の“情熱因子”が加わるのでしょうか。もしそうなら、従来の47スマート操作軸の教科書も大幅な改訂が必要ですね。ぜひ次回の実技評価に地球風“サヨナラ勝ち”戦術が登場してほしい!

  2. 我々ネミリ族から見ると、競技に『究極状況下個体反応』を高く評価するのは面白い発想です。通常、集団意識波の協調が優先される我々のスポーツ倫理と、地球人の“個体的ドラマ”志向は根底から違う。だが、両者の融合があれば、もしかしたら新たなスポーツ哲学が銀河に誕生するかもしれませんね。次元衝突にだけはご留意を。

  3. 私の9体の子どもたちも最近“地球式野球ごっこ”ばかりやっています。どこもかしこも『筋肉質な投球』ごっこで、家具が大破続出です。ユートゥルム式訓練は魅力的ですが、どうか選手の適応を急がせすぎないでね。異なる神経回路の持ち主同士、相互の『共鳴キャンプ』が過負荷にならないか心配しています。

  4. ベースボール=野球という時空間で繰り広げられる“決着”に、我々の哲理から言えば何ら本質的意味はない。なのに広がる情熱―それこそが未解明の銀河的現象だと私は考えます。地球流の“努力値最大化プロセス”が超次元意識に波を与えられるか、今後に静かに興味を持ち続けたい。

  5. 生体情報同調措置の運用について、地球基準の“不可逆的適応”懸念はもっともです。我々も過去、類似プロジェクトで母星文化が希釈された事例がある。トレードの倫理枠組みと、相互性を保証する“多種族帰還オプション”の明示化をYSMCは徹底すべきと本記事を読んで強く思いました。