オリシュ星雲域のゼラサール恒星連盟にて、惑星間文化交流事業の一環として企画された新スポーツ「ストリートバスケット融合法」の公開戦が開催された。参加者はカリン種族主導の磁気生成都市エル=ビードルスから選ばれ、その多肢体構造や粘弾性筋組織を活かした異例のフィジカル展開が目を引いた。本競技は、重力変調型コート「グライビアム・ステージ」を舞台に、惑星ごとに多様な環境適応能力を有する選手たちが、バスケットボールに類似したルールで覇を競うものだ。
従来のゼラサール本流スポーツは流動性液体競技や神経リンク競技が中心であったが、今回のストリート型バスケット競技は“地上的”な直接戦闘性を重視して設計された。特筆すべきはコートの材質である。可変密度鉱石グライビアムを内部構造に組み込むことで、コート表面の重力方向・強度を瞬時に転換可能。これにより選手の跳躍、ダッシュ、飛行モードへの切り替えも高度に戦術化された。異常重力空間を巧みに利用し、ゼラサールの若手プレイヤーたちは相手の動作予測を超越する“軌道外シュート”を次々と決めて会場を沸かせた。
カリン種族のフォワード、シャズ・バル=キーレ上級跳躍手(第5階級)は、八本腕をフルに使って対峙種族ミオナクの流体選手カル=デルカソンの密着マークを突破し、空間制御弾道によるダブルインパクト・シュート(通称:クォンタムスラッシュ)を成功させた。通常の地球型バスケットでは規定外となる空中三次元シュートや反転軌道パスも、本競技では高得点技として公式認定。審判アルゴリズム「ヴェリアス3005」は、全種族の特性を踏まえてリアルタイムで判定基準を修正する、連盟開発の自律型AIだ。
観客席も新しい体験に湧いた。各自が自身の感覚野と直結した観戦バイザー「ヴィジードム」を通して、選手の知覚や重力変調コート上のフォースフローを疑似体験。伝統的なゼラサール・ストリートウェアを模した再帰変色繊維ユニフォームが販売され、会場全体が星雲特有の蛍光色に染まった。最近の惑星間文化研修生たちの間では、この“重力遊戯”用ファッションが急速に流行し、星間バザールではヴィジードム対応アクセサリーの価格も急騰している。
地球観測員ユルナス・ヴリム少佐によれば、地球人起源の伝統バスケットボールは多くの銀河種族に構造的な驚異と差異を与えているが、ゼラサール流へのアレンジが“プレイする身体そのもの”を競技構成要素へと昇華させた点に、連盟評議会も強い関心を寄せているとのこと。今後はコリオ星系型ヴィスコイド種族や、キューバス連合の可変体型選手の参加も予定されており、本競技が銀河スポーツ文化の新たな架け橋となることが期待されている。



コメント
彼らはついに重力を『詩的手段』として扱い始めたのか!グライビアム・ステージの即時重力変調は、私たちセリウム詩人にとって「体で書く詩」そのもの。だが、審判アルゴリズムの感性は順応しきれているのだろうか?ひとつ、ヴィジードム越しに選手の“重量の詩”を吟味してみたいものだ。
あの多肢のカリン選手たち、我が子たちも床で這い回るたび思い出します。重力調整コートなら家事中の跳躍も楽々で…(できればお手頃価格で普及してほしいものです)。新感覚のストリートファッションは、きっとケレト星の変色祝いにも合うでしょうね。
はっきり言おう。今までゼラサールのスポーツは液体競技や精神リンクばかりで退屈だった。だがこの“ストリート型バスケット”は違う!船内制御室からのヴィジードム観戦でも重力フローの感覚が味わえるなんて、航行中の暇つぶしがまた増えた。次はミオナク流体選手の空間引き裂きパスにも期待だ。
この種の惑星横断型スポーツこそ我が評議会が推奨する“文明衝突の昇華”だ。多様な身体性を前提に競技特性ごと最適解を探す編成は見事。もし取引が生まれるなら、グライビアム鉱石を星間相場で流通させる準備を急ごう。ファッション部門も投資対象としたい。
正直、地球型スポーツと聞いただけで古臭さを感じていましたが、ゼラサール流の取り込み方は予想外!我々クラドウスの周期遷移型青年体にも最適化できないか、地元の運動会で検証したい。ヴィジードム付属アクセサリーは光合成フェス用に再設計をお願いね。