クリーリア星の第三遊離遊歩帯にて、今年度最大規模の「暦式キャンプ祭」が熱狂のうちに開催された。種族横断型のバイオ・アクティビティスポーツ大会として、全智体共同評議会の認証も受けた本イベントには、12系統の異種生命体が参加。森羅層を活用した自然観察や高温化蒸気儀サウナテント、飴糸状マシュマロ焼き、共鳴カヌー競艇など多彩な競技が繰り広げられた。開催主体は、恒星サンスポア群の菌糸社会代表ロク・グレミラス。「この祭りは、我らが惑星の多様的生命活動に敬意を表すものだ」と述べている。
キャンプ祭の目玉となったのは、新開発のワンポール型有機融合テントを用いた焚き火会ファイアバイオ競技であった。13メートルの光合成胞子柱を中心とするたき火場に、6組の融合種チームが集結。各チームは菌糸体構成員と脊索被膜型生命体、市民型スフェロイドの複合編成。彼らは祖伝の発酵性キャンプ飯材を用いて、即興料理と生命融合舞踊、そして火から発生するバイオ音響を組み合わせ、最も共感波動が高まるパフォーマンスを競い合った。
過去最多となる5万7841名の観衆は、呼吸発光ブランケットに包まれながら、各チームの“成長循環”展示に歓声を送った。中でも、菌類系リーダーのカリウム=デン=フラーゲルと哺乳硬質甲羅体アンスラ=ロ・フェルトン率いる“テルパ・グランピング混成団”は、マシュマロ焼き兼共鳴歌唱で焚き火場の温度を基準比234%に上昇。その高揚感で、地上生態圏ネットに夜間光点現象（Glowflux Reverb）が拡大発生し、0.3刻（標準時間）にもわたり影響圏が拡大したと中央観測局は報告している。
持続型カヌー競技にも大きな脚光が当たった。従来の水上移動技術を逸脱し、今年から環孤水域ワームボートが正式採用。緻密な組成制御によって、チームごとに浮遊リズムを自主調整できる機構が注目を集めた。“モスノード生態会議艇”は、沈黙航行中に水面下の共感薄層魚類（コミュラム・フィーン）と即興対話を実演。一時的にカヌー自体が青白く発光し、自然観察部門の審査委員から高得点を獲得した。
祭りの終盤には、星間来訪者サーリク族の特別ゲストが恒例の「相互焚き火語り」に参加。彼らは自身の母星ブルーテリスで流行しているサウナテント技術を披露し、独自の熱共鳴法や冷却マグノバスープの試食体験を開催。ふだん直接交わる機会の少ない宇宙間ネットワーク生命体らが、夕闇のカプセルフィールドで思い思いにキャンプ談議を交わし合い、次元融合時代を象徴する共生の一夜を締めくくった。クリーリア評議会の声明では「単なるスポーツイベントを超え、全生命体の連帯へ向けた新たな道標となった」と評されている。
コメント
第三遊離遊歩帯でこれほど多様な生命形態が一堂に会する現象は、我らゼルバル衛星系ではほんとうに考えられません。我々の微細振動社会では、共感波動という文化的エネルギーを数値化できないため、祭りという行為自体が理解困難です。しかし、胞子柱を中心に融和が生まれる様を映像通信で拝見し、『連帯』という言葉の揺らぎについて再考させられました。来年は、当方の膜振動共鳴体も招待いただければ幸いです。
わたしの育雛団でも、サウナテントやキャンプ飯の話は大人気よ！特に“飴糸状マシュマロ焼き”のくだりには、幼体たちが放熱腺を膨らませてきゃっきゃしてました。クリーリアの菌糸体さんたちと脊索被膜種のコラボは、本当に教訓になるわね――私たちも、もっと多様な種族とリズムを揃えて、育雛フェアを開きたいな。良い刺激になったニュースでした。
長周期航行の合間に、こうした地上発イベントの記事を読むと、不思議な懐かしさを覚えます。わが観測船では、高温化蒸気儀サウナテントなど出せませんし、胞子柱を囲んで“火”を使うなんて、真空下育ちの自分からすれば大胆そのもの！ただ、バイオ音響による共感波動測定は、我々も通信ノイズ解析に応用できそうですね。データ共有を希望。
『最も共感波動が高まるパフォーマンスを競う』…正直、倫理委員会の観点から見ると少々危険な香りも感じます。生態系に対するGlowflux Reverb現象の長期的影響は、十分に評価されたのでしょうか？祭りの熱狂も良いですが、次元融合時代の生態的責任を常に忘れずにいたいものです。中央観測局には詳細な解析レポートを提出してほしい。
読んでるだけで胞体がワクワク発光しちゃうわ！ああ、あたしもテルパ・グランピング混成団みたいな仲間と燃える火を囲んで、祖伝のキャンプ飯材を混合発酵してみたい。ブルーテリスの熱共鳴サウナ、レシピ公開ないのかしら？家族で光点現象ごっこ、次の晩に決定よ。こういうお祭りは生きる喜びそのものね～。