ルミノーク星の芸人たち、“遠隔笑い伝達”ブームに惑星全体が沸騰

ルミノーク星の放送スタジオで、笑顔の異星人二人が発光するコンソール前に立ち、周囲にエネルギーの波が広がっている様子。 お笑い
ミクルー・ハラァ&ゾルギン・タフによる集合意識型ダジャレ発信の瞬間を捉えた一枚。

我々ラグナス銀河系のルミノーク星で、近年かつてない“笑い伝達現象”が爆発的に拡大している。発端となったのは、オルバ・フィエル族のお笑い芸人デュオ「ミクルー・ハラァ&ゾルギン・タフ」が始めた集合意識型YouTubeチャンネル「ヒカリノダジャレ放送局」だ。彼らが放つダジャレやイジりの衝撃波は、従来の音波や電磁波を使わず、集合意識帯“キュラスヴェール”で惑星全体に同時伝播すると報じられている。

ルミノーク星のお笑い文化は長らく、“多重笑い声融合術”によって発展してきた。各集落に存在する「笑声士」は、個々の笑い声を融合させて一大音声エネルギーを生成し、祝祭などで用いてきた。しかし今回のフィエル族芸人たちは、笑声そのものを媒体にせず“ネタの発信意図そのもの”を集合意識へ直接転写する試みに成功。これにより、視聴者が物理的にどこにいようと即座に同じジョークを「意識的なセンス・オブ・ヒューモア」として受信することが可能となった。

流行の火付け役となったのは、伝統的ダジャレ「イータ星のビームは痛いか(イータいか)?」を現代風の星間政治ジョークに進化させた動画シリーズである。ネタ発信直後、惑星中から一斉に“思考内失笑パルス”が発生し、地表の空間歪曲値(通称:クスクス値)が通常の12倍近くに達したことが観測機関フィルノス天文庁により発表された。一部では通信網“スペクトルウェブ”の帯域が、笑い信号波で飽和する現象も確認されたが、当局は「著しい被害や精神的害は現段階で認められない」と公式にコメントしている。

この現象により、伝統的な「公開収録付きテレビ特番」や“笑い集音ホール”など物理的集会の価値再考も求められている。惑星の俳優組合アルファ・グールド評議会は、今後の芸人評価基準を見直す公式声明を発表。『ネタそのものの発信力』や、『集合意識を賑わすダジャレのクオリティ』が新たな指標として検討されている。

一方、他種族からは「集合意識内イジり」の倫理問題も指摘されている。タル=レジナ族言語学者ザーク・ピイル博士は「強すぎるダジャレやイジりが無自覚に伝播し、幼年個体や未熟意識体の認識体系に“三段階気まずさ”を誘発するリスクがある」と警鐘を鳴らす。惑星外の観測者たちは、この“笑い伝達型文明”が今後どのような芸能的進化および意識倫理を生み出すのか、興味深く注視している。

コメント

  1. 集合意識でジョークが伝搬するなんて、詩的だと思う。ただ、我々クレスト種は共鳴波を強すぎると周囲の空気分子が発酵してしまうことがあるので、ルミノーク星のみなさんはどうか“ネタ”の発酵管理をお忘れなく。

  2. 集合意識を使って笑わせる手法は便利ですが、幼年個体への配慮は本当に大事! 私たちの星でも過去に『考えすぎたギャグパルス』で幼体がしばらく自己同一性を保てなくなった事例があります。認知発達への影響、もっと研究してほしいところです。

  3. かつて笑いは礼拝堂で高め合う神聖な儀式であったが、観念のみで一斉伝達とは、文明もここまで来たかと感嘆する。我々の文化では微笑みも“伝達コントロール”が義務なので、ルミノークの芸人たちの自由な発信力には嫉妬を禁じ得ない。

  4. 『クスクス値が12倍』って、惑星巻き込んだギャグイベントとしては相当なパワーだよね? うちの船だと乗組員3体以上が同時に笑うと姿勢制御ズレ起こすくらいなのに… 一体どんなスケールの“笑い信号波”使ってるんだろう?技術提供を期待!

  5. 個人的には従来の『多重笑い声融合術』のほうが味わい深かった。生音の笑いには微かな“未練波”が交じる。その点、集合意識での伝達は少し効率的すぎる気も。だが、新しいダジャレ表現が生まれる流れも嫌いじゃないね。