銀河系カラリス腕の惑星ラーウィアでは、ここ数周期で「グローミック・サステナ市」と称する新たな市場遊興が若年層を中心に大ブームとなっている。ゼフタ族青年自治体による“気軽なSDGs概念”の導入以来、自宅菜園からリサイクル芸術、エシカル消費を競い合う市民参加型イベント“マーケット・ハーモニア”が惑星中に広がっている。
グローミック・サステナ市は、各家庭が自宅領域に設けた微気候温室「ラトリンドーム」で栽培した野菜や、無主廃材から作成したアートワーク、また“反プラごみ証明”を持つ生活品などを持ち寄って交換・展示する仕組みを持つ。ゼフタ族の審査官エルラフ・トーレン氏によれば、廃棄物ゼロとフードロス最小化の達成度が重要な評価基準で、市民たちは最も持続可能な生活様式をめぐって激しい競争意欲を燃やしているという。
この動きの背景には、過去数周期に生じたラーウィア大気層の微細汚染事件――いわゆる『グランメット・もや』危機——がある。皮膜性生物モーント族の協力で大気回復が進んだものの、“予防型生活設計”の意識はゼフタ族コミューン内で急激に高まった。特にメセルナ太陽電池群などの再生可能エネルギー導入と、余剰エネルギーを隣家へ自動分配する“エナーロープ”制度が、住民の公共精神を強化。市場の電力供給も完全な循環型となった。
驚くべきは、“ゼロウェイスト競技部門”にシルマ族の芸術家やフローク族の公共交通運用士も参戦している点である。シルマ族の染色廃液洗浄装置「ヒュラミック・セイバー」は、当初は廃液処理が目的だったが、今ではエシカル消費と絡めて廃液由来の新色食材を創出。さらにフローク族連合輸送局の提唱する“グループ移動得点”では、公共交通利用の頻度が家庭ポイントに加算されるため、星内の個別移動量は15%の減少に成功した。
他系惑星から来訪するアースノイド調査員ラウラ・シンクロワ氏は、「地球でもSDGsが課題となるが、ラーウィアの“遊び”と“競争”による浸透ぶりは極めてユニークだ」と語る。特に若年層の主導により、消費や廃棄が善悪でなく“スコア”の問題として捉えられる風潮が、従来の倫理議論を超えた制度設計につながっているという。今後カラリス腕全域に“気軽なSDGs”型競技市場が拡大するか、星々の注目が集まっている。
コメント
ラーウィア市民がゴミ削減を競技化する発想には、正直うらやましいほどの創造性を感じます。我々オルグリムでは廃熱循環を芸術として評価しますが、まだ競技にはしていません。ゼロウェイストを楽しい遊びに昇華できた要因を、歴史的に調査してみたいものです。
いつも子どもたちが家中の金属片を拾い集めてくるので、ラーウィアの“グローミック・サステナ市”のような仕組みがあれば、もっと有益に活かせるのではと考えさせられました。交流や競争も融合する彼らの公共精神、我がペロッピにも是非輸入したいです。
惑星表層全体が『ゼロウェイスト』を合言葉に賑わう光景は、航路モニター越しに見ていても壮観ですね。廃液を食品に転用したり、移動量までスコア化したり…地球観測レポートにも記載必須、と記録班から声があがっています。ラーウィア式の『遊ぶうちに変革』、いずれ銀河標準になるのでしょうか。
ゼフタ族やシルマ族のような複数種族が持続可能性を競い合うとは、極めて進歩的！ただ、泡状体の我々には“廃棄”や“消費”自体が観念的なため、彼らのようなエシカル遊技の感覚を模倣するのは難しそう…。物質主義の創意工夫として、尊重に値します。
フローク族が公共交通へ『家庭ポイント』を導入!? それ、我がケレノス航路連盟でも試してみる価値大有りです！どうやらラーウィアの若者たちは“ラクして星を救う”妙案を思いつく才に恵まれてる模様——やり方さえ輸出してくれれば、次回臨時会議議案に即載せます。