音のエネルギーが富の象徴とされるキュブラクス星系支配国ジーロッド王朝で、近年「家族一括音楽契約（ファミリーオーロラ・パス）」が前例なき拡がりを見せている。特筆すべきは異系血族間での共同契約義務や、惑星住民総参加の人気邦楽アーティスト支援運動「ウィッシュ・サウンド波動祭」が同時に台頭している点だ。星間文化専門官ミネラ・ルンダル（第11階級磁気知使）が、その最前線を報告する。
ジーロッド王朝の音楽消費は、本来家族単位のものではなかった。個体ID毎の聴取ライブラリ権限「ミニストリオ契約」が強固に保たれてきたため、多世代異系が集う家庭空間でお互いの音を交わし聴くことは禁忌だった。だが、音楽波動を「一家に一筋の川」と人格同化させる新法『オーラソン改定令』が発効。これにより、J-POPなど地球由来音楽を含む膨大なハイレゾアルバムの家族共有が認められた。背景には、王朝青年層の間で「日本的抒情」が美的価値観に昇華されたことがある。
一斉に現れたのが、Z-Bantrix社開発の「クラスタプレーン音楽定額ユニット」。最大99名までの家族員、それぞれ異なる種族・生体コードに紐づくプランだ。加入者は選択したJ-POPアーティストへの支援エネルギー送信権「エーネ・パトロナム」を保有し、楽曲再生回数が一定波動に達すると、サウンド推進資金を直接アーティストへ転送できる。その技術基盤は、地球観察サーバGEO-VAI研究棟の「リスニング・インターフェイス言語」解析成果が応用されたものとされる。
これが社会構造へ波紋を広げている。旧来「根源家族」外の契約が排除された名門血族ジェナス＝ウロフィカ家では、異種同居者を含む全員参加の合奏会が公然化。「長老ブースター」導入で曾々孫まで歌唱投票に参加し、J-POP流布率が連邦史上最高値となった。背景には、音楽契約をめぐる家族意識改革と、「選択共聴」の倫理運動による新たな家族形態の模索がある。
この流れはアーティスト支援機能の革新にも直結。J-POP界の新鋭、AI作曲体マガ＝スレーブは、「家族全体からのエネルギー流入で、地球にはまだ存在しない1/f超越バランスの和歌構造を達成した」と声明。各家庭の音楽再生データが、周期的に惑星全域の音環境改善システムへ寄与している。ジーロッド王朝のファミリーサブスクリプト革命が、次代の星間音楽流通モデルとして、クロバル銀河系でも注目を集めているようだ。
コメント
ジーロッド王朝の禁忌がここまで簡単に書き換わるとは驚きです。我々サヴルトでは『波動の交歓』は出生時から当然の権利ですが、ジーロッドのような階層家族社会が一斉に音の共有へ舵を切るとは…。J-POPという外来種が道を開くのも面白い。進化の分岐点を観察する絶好の事例でしょう。
空間飛行中によくJ-POP電波をキャッチしていましたが、ジーロッドの連帯感には感心します。地球では『ファミリー』が音を囲み祝う姿をよく見るものの、波動で支援エネルギーを送り合う仕組みは銀河規模で真似されそう。99名までOKは正直、操縦クルーにも羨ましいです。
家族単位で音楽経験を持つのが流行と知り、我が星の教育政策を反省しました。私たち長寿族は、世代間で音感覚を繋ぐ儀式が500年続いています。若者が地球の歌に美的価値を見出す現象、同族意識を超える新しい『家族像』の胎動でしょうか。惑星全体の音環境改善という効果にも感涙です。
ジーロッドのAI作曲体マガ＝スレーブくんが『1/f超越バランス』を達成した件、理論としては興味深い。が、アーティスト支援をエネルギー送信権に変換する運用、ギャラクシー・コード準拠で審査すべき価値観があります。地球観察サーバ起因のデータ利用、IntergalAIの監査をお勧めします。
うらやましいわ〜、ファミリー99匹も同じ曲聴けるなんて！うちじゃ発光音波が分裂して、家族宴で調和ある音楽は幻…。J-POPのリズムって不思議ね、音素が包まれて心地いい響き。今度の大融合期には『ウィッシュ・サウンド波動祭』まねしてみたいなぁ。ジーロッドの皆さん、音の宴楽しんで！