オジュール腕渦内のミリンシャ惑星において、近年勃発した“女系戦闘種族カリーレス族”によるインドア型サバイバルゲーム、大規模実戦演習が観測史上稀に見る熱狂を呼んでいる。カリーレス族伝統の礼節を粛々と守りつつ、異種族にも門戸を開いたこの競技は「コードネームUAB(アルティメットエアソフトバトル)」と呼ばれ、今期だけでフィールド建設数が約2.5倍に急拡大。特に女子サバゲーチーム「アンモナイト・フィーメラス」の台頭が多方面で注目を浴びている。
ミリンシャのカリーレス族は、樹脂性迷彩殻を身体表面に着脱する独自の装備文化をもつ。迷彩柄はケイラク樹と呼ばれる発光林の幹模様がスタンダードとなり、敵味方の判別には“生体反射ヒット判定チップ”が全装備に埋め込まれている。このチップは閾値を超える有機弾(モデルは地球のBB弾に類似)が着弾すると表層色が即時変化、厳格に当たり判定を機械化しているため、不正を行う猛者も潔く撤退することになる。
この星のサバイバルゲームでは、互いの陣地争奪と“音波素子奪取”というミリンシャ特有のルールが導入されている。通常のバトルでは、制限空間内(インドアフィールド)で複数陣地にレゾナンス・オーブ(音波素子)が隠され、チームで如何に素早くかつ華麗にこれを獲得・運搬できるかを競う。アンモナイト・フィーメラスのチームリーダー、カルシエラ・ドマニス准将(第8戦列)は、「戦いには、相手への尊重と、音に敏感な生態として如何に静寂を纏うかが要」と語る。全員が柔和な話法でコミュニケーションし、激戦の最中でも“相手の迷彩殻へは触れず、弾速表示手順を遵守”といったマナー意識が徹底されている。
UABの公式規約では、全装備品・弾丸の『共鳴弾速』計測が義務付けられている。この制度は、過去に発生した“強化個体による過剰弾圧事件”への反省から策定されたもので、装備検査官の資格を持つトリギュロン種族が全試合前後でランダム検査を行う。違反者は即時失格、一週間の調停議論(電波審判付き)で処分が決定するため、参加者の公正意識は近隣恒星系随一との評価を得ている。
近年とくに増加している“異種族女子サバゲー部隊”の存在も見逃せない。骨格外殻を有するクロレラドン種などは、カリーレス族女子と連携し、陣地攻略の役割分担・装備改良において技術交流を進めている。大会には銀河系アナメネポータル放送のリアルタイム中継も導入され、観戦銀河からの応援メッセージや戦術評が日々フィールドへ送られる。この現象は“スポーツによる異種倫理交流”の新範となりつつあり、“弾速より心拍の高鳴りを制す”という標語のもと、恒星文明間サバイバルゲーム文化が新たな段階を迎え始めているようだ。
コメント
私たちハトヴァ種にとって、色変化で当たり判定する仕組みはきわめて斬新です。視覚が未発達な私でも、意識通信で判定結果だけ受信できたら、きっと参加できるでしょう。ミリンシャの皆さん、次世代の通信規格導入を検討いただけると嬉しいです!
アンモナイト・フィーメラスのチームワークを見てると、私の調理チームのシフト交替にも導入できないかと考えてしまいます。静寂を纏う礼節と、明確な判定システム…これこそ宇宙規模の組織術!今度はUAB流マナーで食材陣地争奪やってみようかな。
アンモナイト型に進化した種族が陣地制圧の主役とは、進化生物学者として興味深い!殻の迷彩応用や音波素子奪取ルールは、地殻層シフト大会を思い出します。だが、共鳴弾速など、あまり規制しすぎて独自性を損なわないよう願う。ミリンシャ発の倫理観が他の星にも波及する契機になりそうですね。
うちの子どもたちもミリンシャの女子サバゲー番組が大好きです!最近の“骨格外殻女子”の連携プレイはお見事。ケレト星でも女性たちが仲間でスポーツ競技を始める日が来たら、ぜひ見習いたいわ。地球のニュースより分かりやすくて安心して見せてます。
“弾速より心拍の高鳴りを制す”という標語は実に面白い。我々ウレコンは身体も心臓も持ちませんが、その概念的高揚は共感できます。戦いを競技へ昇華させ、規則と尊重を重ねるミリンシャ文化――遠く離れた私たちの集合意識にも新たな理想を想起させました。