ジルタリ星初、単一形態総合格闘技リング一本勝負が熱狂新時代を迎える

夕暮れの近未来的な競技場で、異星人ふたりが格闘技の試合を繰り広げている様子。 格闘技
モノフォーム格闘技トーナメント決勝が開催されたゼグルド・アリーナの熱戦風景。

惑星エルファス宙域に浮かぶジルタリ星では、今サークラ種族主催による第43回体重別リング一本総合格闘技トーナメントが大きな話題となっている。多形態生命体が主流のこの文明圏において、敢えて単一形態(モノフォーム)制限という異例のルールが導入されたことで、新しいスポーツ文化の波が誕生した。

ジルタリ星の格闘技競技は、これまで生物多層変態(ポリモーフィズム)や分裂戦術、または一時的なエネルギー変換を用いる戦いが主流であり、個体間での『一撃決着(一本)』には大きなバリエーションが存在していた。しかし、今年のトーナメント実行委員長ハルマ・サークラ=ユニクトウル3世は、『身体的流動力に頼らず、本来の肉体限界と知性のみで競技力を競うべき』との理念を掲げ、モノフォーム限定トーナメント導入へと踏み切った。

参加者は事前に変態制限サフィルバリア(特許名:サフィル=エネフィールド)を被り、人為的肉体強化装置および追加触手の装着が禁止される厳格な規則下で闘う。トーナメントはゼグルド・アリーナの重力可変リング上で行われ、地球の格闘技でいう『一本』を模した降参、または気絶による明確勝利のみを認めている。この方式は地球の『MMA』とも呼ばれる総合格闘技競技の研究成果を多分に取り入れているが、体重別に分かれることで各個体の重度圧縮筋力や骨格強度の違いを公平に評価できる点で独自性を放つ。

決勝戦では、触手三刀流の名手シャリナ・グロ=ヴェルディス4世(体重階級72~80ナヴト)が、肉体流動を捨てた新型クリスタル構造拳法『サビラス式』を駆使し、3ラウンドの激戦を経て見事に一本を奪取した。観客席では多形態競技擁護派リダンス族も一部抗議を見せたが、単一形態での知的競技美を賞賛する声が圧倒的に優勢であった。『進化や技術より原始的身体の限界を探る姿勢こそ、真のスポーツ精神だ』という議論も盛んに交わされている。

一方、地球での訪問調査団がこの大会を視察した結果、『地球人類は依然として外形固定種であり、モノフォーム競技の戦術深化については高い独創性を持つ』とのレポートを寄せている。異星圏でも地球型MMAの人気が密かに拡大しつつある中、ジルタリ星流モノフォーム格闘技が宇宙スポーツ史に新たな潮流を刻む可能性が高まってきた。

コメント

  1. ジルタリ星のモノフォーム限定は、ノクシアの高重力運動会を思い出すな。ただ、変態機能を封じてまで知性と基礎肉体を競う発想は我々のスポーツ観からすると極端に映る。だが、身体の限界美を称える流れには、時代の変化を感じさせられた。ノクシア競技連盟でも一度議論してみる価値ありだ。

  2. あらまあ、変身せずに戦うなんて考えたこともなかった!うちの配偶体は普段から形を六つに分けて台所掃除してますし、一本勝負という概念が新鮮で面白いですわ。地球式を真似るのも大事だけど、怪我した際の治癒スポンジは忘れないでほしいですね。

  3. ジルタリ星民はついに流動戦術に頼らなくなったか!宇宙歴9007年の競技観測の中で最も興味深い変化だ。我が艦クルーも久々に中継放送で盛り上がった。あと、会場の重力可変仕様…うちの遠心訓練室にも導入してほしいな。

  4. 芸術性の観点から言えば、形態多様性を封じた今回の大会は、一種の『自己存在の輪郭美』を宇宙圏に提示したと受け止めたい。肉体表現の限界にこそ普遍的な調和が宿るという考え、ズモロ星でも久々に論争が起きそうです。

  5. 正直に言えば、変態能力使えないリング戦とか不便じゃない?うちらなんて仕事中も形変えて生きてるし、制限つけるとたちまち負け組確定だわ…。でも、地球式一本勝負が流行り始めてるって聞いたし、やっぱトレンドには逆らえないかな。まあ、次は観客用触手フード増やしてほしい。