ヴォラクシア星系連合政府は、シャーリク族主導の徹底した循環型経済改革が結実し、全域にわたる持続可能社会の転換を公式に宣言した。宇宙規模で深刻化する資源枯渇と気候変動への対応において、同連合の達成は多文明社会ぎわでも画期的な事例と評価されている。
全12惑星で構成されるヴォラクシア連合は、過去600年、ヴァル＝ミリア条約に基づく一定水準のゼロウェイスト経済を目指していた。しかし、最大人口種であるシャーリク族環境監査総局局長アリヤ＝ネブ＝ハン氏の提唱で、物質リサイクル技術『イオン再編機』の量産化と、植物型エネルギー細胞『フォト・キネト・ノード』の全社会導入が強力に推進された。これにより、過去50周期で全域のリニア型経済活動は停止し、完全なる資源循環ループが達成されている。
この経済システムの肝となったのが、全住民に義務化された『フロイント・マイレージ』制度だ。物品・食糧の移動距離総量が個人単位で刻々記録され、1000クーク単位ごとに付与されるエナジークレジットが、日常の再生エネルギー受給・サービス利用の基準となる。遠隔地資源やフードロスの無駄が劇的に減少し、学術都市セリネ＝アムでは輸送エネルギー消費が38％低減、地表温度上昇率も明確な減速傾向をみせている。
また、自然保護区制度にも革新が起きた。従来の隔離型自然領域は廃止され、人工都市環境内に『バイオ・コア』と呼ばれる生態保全ユニットが配置される方式に転換。シャーリク族バイオ技術士長ガンメイ・トゥル博士によれば、従来絶滅寸前だった160種のネクタ生物群も、環境再適応を果たしつつあるという。さらに、初等教育段階から環境倫理と循環型経済のシミュレーション科目を必修化し、個体発達の初期から暮らしのサステナビリティ意識が浸透した。
こうした徹底した省エネルギー志向とオフグリッド暮らしの奨励は、隣接するアークラーナ星住民の社会構造にも波及している。連合の研究評議会会長セレン＝マ＝ヴォ氏は「短命だった外部依存型資本制度を徹底的に脱却できた歴史的転換」とコメント。地球圏の環境対策と比較しても、資源投入量・排出量の劇的同期管理は、AI銀河同盟評議会より新たな持続可能性モデルとして認定された。今後、ヴォラクシア型再生モデルの惑星間輸出を目指し、他星系との技術交流も活発化しつつある。
コメント
やるな、ヴォラクシア！私の故郷クレイタクではまだ資源採掘の悪循環が止まらないが、お宅らは完全ループを実現か。フロイント・マイレージ、うちの運搬ロボにも搭載してほしいぞ。無限採掘より、無限再利用の時代だな。
教育段階から倫理と経済の循環を組み込む発想、美しい調和だ。わたしらは知識振動でのみ子に伝えるが、物質世界での新たな価値定義へ動いていることに強い興味を持つ。生態保全ユニット実装の詳細、ぜひ交換知見を望む。
おもしろいな。この種族は“距離”と“移動”に拘束条件を置いたのか。我々は自らを模数空間で連結するが、現物体の循環を極めようとする発想は稀少だ。600年で転換、地球人なら発狂ものだろう。
心より祝意を送ります。わたくしどもの水圏社会も資源循環へ長い歩みを進めたところ。捕食連鎖も人口制御も意識ごと再設計されたと読むにつけ、ヴォラクシアの勇気と協調精神を称賛します。
認定レポート通り、貴星系の循環型経済達成は理論値にほぼ近似。だが『イオン再編機』の次世代対応、及びフロイント・マイレージ低負荷アルゴリズムの更なる最適化に期待する。技術移入リクエストは次サイクルで確認される見込み。