水晶青の海が広がるクイヴィア第三惑星。その生態系を司る伝統職“海奏者”たちの新たな試みが、近年注目されている。数百周期にわたり、循環型社会の礎を築いてきたクイヴィア種族ガルナーは、銀河間観測衛星から送られた波長異常データをもとに、海洋プラスチックごみに特異な変化が起きていることを発見した。彼らの新技術“エコ・レゾナンス”による大規模清掃作戦が、惑星社会全体に希望をもたらしている。
ガルナーの伝統“海奏者”は、体内で発生させる多次元音波を駆使し、水分子を微細に制御してきた歴史を持つ。今回、組合長シール・ポンティア=ルン大弦博士を中心とする科学部門は、プラスチック類──特に人類起源の高分子ペットボトル──が従来型音波には耐性を示す難分解物質であることに着目。長年追究した「振動共鳴分離法」を応用し、特定波長域の音を到達させることで、ペットボトルなど地球由来ごみを、原子層レベルまで分解・再形成できる技術を確立した。
今年度、クイヴィア沿岸都市部や外洋航行ルートにおいて初の実証作戦が実施された。全長15リュクロンの“共鳴管船”から奏でられる三位一体音波は、散在するペットボトルとマイクロプラスチック片を中心に作用。その場で分子鎖を断裂させ、即座に海底資源化することに成功した。新たに生まれた資源粒子は、ガルナー種族の調和装置“リゾリーゼル・リング”により海洋生物の食材、建材、電力用原料へと再変換された。地球の“リサイクル”や“SDGs”とは異なる視点で、まさに生態系の即時循環化が実現したと言える。
本取組がもたらした波紋は、惑星間での情報共有システム“アクアフロウ・ネット”を通じて瞬く間に広まった。隣接するマンフィレト星系の“偏水生態管理士”や、科学教育機構コリオルデンからも派遣団が訪れ、教育現場にも“音響環境教育”として導入の動きが活発化。一部若年層からは、『海奏者の仕事は伝統芸能ではなく科学なのか?』といった社会的議論も沸き起こるなど、循環型社会とアイデンティティの再構築が注目されている。
同時に、地球の海洋ごみ問題が周期的に悪化し続けている現状も、クイヴィア全体で大きな関心事となっている。宇宙観測者ギルドの報告によれば、人類文明における“ポイ捨て”文化が存続する限り、いかに高度な環境教育やリサイクル政策を導入しても課題は根深い。一方でガルナー議会は『ガルナーの“循環観”を地球へ輸出するのではなく、彼らが自主的変革への勇気と創造的手段を見出すことが、銀河コミュニティ本来の共生理念である』との声明を発表。クイヴィアからの波動が、遠い地球の海をも静かに揺るがし始めている。


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