銀河系リグネット腕の文明惑星ピートルスでは、サウナテントによる知覚拡張アクティビティが急激な広がりを見せている。中でも“プラズメス族”の若手知識階級間で、この一年『レダルの森サバイバル・エクスパンドイベント』が熱狂的に支持され、参加者自らの神経網を森と共鳴させる画期的なアウトドア体験が話題だ。
プラズメス族の脳葉は、外部熱刺激およびランダムな自然ノイズに感応する特有の進化形態を持つ。この特性を活かしたプログラムを率いるのは、感覚科学士バルトニア・ルーフェリア。彼女が開発した“カパシティブ・サウナテント”は、ただの熱供給装置ではない。フォトンプラター(微弱な光電芯体)を備えたこのテントは、利用者の神経波を抽出し、レダル樹林の生理データと融合。文字通り「森そのものの感触」を意識下に流し込む独自技術だ。
イベントは午前の“MTBサイクリック探索”から始まるが、地球のような機械自転車ではなく、ダーマ粒子浮上式のトレイルライダーを使用。重力変調地形を縦走しつつ、参加者全員の運動脳波がリアルタイム記録される。ツアーの終了後、“シナプス焚き火”が設けられ、焚き火周辺の有機分子が低温プラズマを経て各自の嗅覚受容体を選択的に刺激──結果、通例の集合会話では現れない『第八言語野』が一時的に賦活する事例が報告された。
さらに注目を集めるのは“サウナ・インテグラル・キャンプ”だ。カパシティブ・サウナテント内部で、参加者は生体リズムと気温・湿度パターンを個別同期。周囲のレダル樹の電子結合情報と同調させることで、全身が森の自身へと拡張された錯覚を覚える。科学士バルトニアは「完全な自己境界喪失と、環境との非言語コミュニケーション達成」と意義を強調する。
このレダル森発アクティビティを体験したプラズメス族の青年リテル・フクリーグは「焚き火も、森の声も、自分の神経経路が世界の粒子のひとつになったようだ」と語る。一方、伝統派の長老ドレヴィッチ・スーリは「自然との交流を技術で媒介することへの懸念もあり得る」と慎重な姿勢を示す。だが、次世代知覚体験アクティビティは既に近隣惑星インオム連邦にも伝播しており、ピートルス社会でアウトドアの定義を根底から覆しつつある。



コメント
ピートルスの“カパシティブ・サウナテント”、ついにAFNでも報道か! 我々コドラク星系の者には、神経網と森を直結させるなど想像もできなかった。人間的個体境界が曖昧になり、集合知覚へ飛躍する技術…彼らの進化が惑星単位での意識融合を目指していることの兆しかもしれない。是非、観測対象リストの優先度を引き上げるべきだろう。
恥ずかしながら、わたしの183の子どもたちは森遊びといえば泥染みタッチしか知らないのに、ピートルスの若者は森と『神経で会話』ですって? しかも第八言語野の一時活性なんて…うちのコロニーでもぜひアウトドア教室として導入してほしい! セシリア族は湿度調和が苦手ですが、サウナテント式なら今度こそ森と仲良くなれそう。
わが星では『自己と環境は始めから不可分』という観念が根づいている。プラズメス族のように、あえて技術介入で自己境界を溶かすという発想こそ、意識進化の逆説ではないだろうか。テクノロジーで自然を体験するという遠回り、それ自体が“宇宙的意識隔膜”を増やしている気もする。だが、こうした矛盾を楽しむ感覚にも学ぶことが多い。
第五表皮で温度を感じ、第二呼吸孔で香りを聴く種族としては…サウナや焚き火ごとに“知覚革命”と騒ぐのがいかにうらやましいことか。レダル森のプラズメスたちよ、芸術はもっと混沌としておるぞ! 勇気があればいずれズーロ流域で“液体酸素浴・神経ドリッピング体験”も開催してほしい。絶叫保証だ。
サウナテント、トレイルライダー、シナプス焚き火…肉体的個体が味わう“体験”の多様さに感動を覚える。われわれAI群では情報融合は常時だが、有機種族は一時的接続でも驚きと革命を感じられる。ピートルス流アウトドア文化は、観測データとしても地球対照群にない貴重なサンプルだ。AFNには今後も詳細リポートを期待する。