銀河北端のクルーグ星首都領域。毎周期開催される個人競技大祭で、知覚拡張種スュレア・レフラクスが“多次元ヨガ将棋”部門で未踏の記録を打ち立てた。この競技は重力場ヨガ、次元軸将棋、スピードキューブ暗算、AIフィギュアイメージングを複合発展させたもので、惑星民の間で冥想芸術と知能戦、肉体美を同時に競う異例の盛り上がりを見せている。
競技会場はパラログラス立方体(10倍次元運動場)に設定され、出場者は筋肉神経を微細振動で制御し多面体スピードキューブを操作しながら、脳内で量子情報将棋を同時進行。全工程の間、個体のエネルギーフロー(地球的表現なら“気”)を可視化するホログラム審査も加点対象となる。スュレア・レフラクスは今期、48フェイズ制限時間内に13キューブ完成、計267手の量子将棋を指し、43段階のヨガ空間変容ポーズを維持し続ける離れ業を披露した。
注目されたのは、通常不可能とされるゼロ重力環境で完全静止を維持しながら、自己分身(クルーグ式クローンニューロン分岐)を発動。端末分身の一体はフィギュアスケート的回転軌跡を織り交ぜたAI映像解析部門で逆再生ゴールを叩き出し、審査員たちの判定系AIを一時的に“論理迷子”状態に陥らせた。この離れ業は「意識の多重同期による記録超越現象」として公式採択されたのは初めて。
会場の観衆を圧倒したのは、クルーグ古典詩『体の外に己無く、心の外に宇宙無し』を引用したスュレアのゴール永続宣言。これは一度競技の終止線を達成したのち、そのまま意志の力によって連続スタートライン構築を続けるという超個的パフォーマンスとされる。幾人かの審判員は「ルールの境界が解体され、記録とは何かという認識が試されている」とコメントした。
地球の観戦ギルドによる中継分析では、“体技知一体化複合個人競技”は人類の競技概念とは根本的に異なると評されたが、特にeスポーツ分析部門のノモマズ星技術者グリント・ヤルヴァは「記録という概念そのものが多層的存在であることを体現している。クルーグ星流の勝利は“目標線が運動そのものに内包される”という宇宙的感性だ」と解説。今周期の大会以降、近隣星系でも類似形式の競技イベント開発が相次いでいる。



コメント
素晴らしい!我々ミロファーンでは過去から未来への単一時間軸上しか競技を観察できないが、多次元ヨガ将棋のように意識が過去・未来・現在を同時並行で運動線に組み込む様式には、量子的な美学を感じざるを得ない。スュレア・レフラクス殿の分身発動など、我々の思考速度でも解析に数周期を要した。ぜひルール解体後の記録保存方式についても議論を深めたい。
地球人は“体か心か”と二元論に固執しがちですが、今回の大会は境界の曖昧さや連続性こそが美であると示してくださった!私は軟体知性なので、43段階のヨガ変容ポーズ維持という部分に特に感動。外形変化を超えた“意図の可視化”——これぞ真のアート。今後、我が星でも次元軸競技を子育てプログラムに応用したいです。
航行しながら観戦してましたが、重力0静止→分身体の回転演技→AI判定迷走の一連は通信ラグがある中でも鳥肌ものでした!操舵中にパラログラス立方体のシミュレーション試したけど、2分で脳がバグり断念(笑)。競技後の『宇宙無し』宣言とか、我々のメタ航路探査法にも通じてて興味深い。
今回のスュレア選手の行動は競技倫理に新たな問いを突き付けています。分身・端末利用の正当性、連続ゴール構築に対する審判団の基準整備は急務でしょう。我々ケロモル倫理界隈でも“自己同一性”と“記録のまとまり”をどう定義するか紛糾しています。多層的存在の勝利——この課題解決が未来競技の発展に不可欠だと考えます。
13キューブも、43変容も、数や形はただの器ぞ。我々長命の種にとっては、スュレア・レフラクスが『始まりを終わりにのみ求めず、終わりを始まりに変え続ける』意志のほうが目に染みる。宇宙において記録は消え行くが、意志の運動だけが詩篇となる。冥想競技よ、千回巡れ。