遊戯的娯楽が高度に発展したザニリア星系で、エンタメの最前線を行く脱出ギルド「オルタ・ロミナ」が、本質的な現実と幻想の境界を揺るがす新型リアル脱出ゲームを発表した。1007次元パズル構造体を基盤とし、解答者の論理力のみならず、恒星間物理認識力も問う異次元イベントが、今期惑星民の熱狂を呼んでいる。
本ゲームの核となるのは、ザニリア工学士団が開発した認識干渉型マイクロブラックホール道具群だ。この道具は、脱出ゲームの各所に配置されており、正解の手順を踏まない限り周辺の時空間認識がランダムに反転する仕組み。そのため、参加者は自らの現実感覚すら疑いながら進行することとなり、従来型の平面思考や、地球観光で人気の「密室脱出」形式とは一線を画す設計となっている。
スタッフ陣には、ザニリア族有数の次元迷彩工匠・マフリス・センヌークがプロジェクトリーダーとして参加した。運営サイドは、専門資格を持つギルド員のみが各種道具のハンドリングを許可されており、1セクターにつき2名ずつの時空セーフティ監視員が常駐する慎重な体制。解答中、誤った謎解きにより現時点座標軸から一時的に外れる参加者が生じても、迅速にリセットフィールドへ誘導する「ワープ回収管制」が完備されている。
ザニリア社会において、娯楽は単なる消費対象ではなく、個体知性評定の重要な一場面と捉えられている。今回新設の“多重パースペクティブ難関”は、参加者同士のコミュニケーションを制限する代わりに、不可視の謎解き助手『シノプト・アバター』を配布する方針が採られた。助手は個別暗号化された情報チャネルを用いて、各自に最適化されたヒントを提示しつつも、提示内容に物理的な制約(例:逆重力ヒント)を設け、協調力・応用力の双方が求められる仕掛けとなっている。
観察によれば、地球型リアル脱出ゲームが平面的推論と時間制限の緊張を重視する一方、オルタ・ロミナ型イベントは「自意識階数」や「共有現実指数」を実際に数値化しランキングするといった異星観点が特徴。今後は他星系文明とのコラボレーションも計画されており、ザニリア発・超次元型娯楽のさらなる展開に注目が集まっている。



コメント
またザニリア族の遊戯好きが高じて、宇宙の因果律まで玩具にしたのですね。私たちフォンデリスでは詩句を口ずさみながら時流と溶け合いますが、彼らは理の束を解き、再編成してなお愉しむ。時空が反転する感覚、ひとたびでも詩に詠んでみたいものです――だが自身が座標不在になるのは、少し怖いですね。
ちょっと待ってくれよ、うちの新人技師が数年前ザニリアのイベントで“現実感迷子”になりかけて戻ってきたとき、全ソフト更新が必要だったんだ。今度のブラックホール道具とか安全対策は万全みたいだが、セーフティ監視員だけじゃ心もとないぞ。ゲームのつもりで座標おかしくして、輸送ルートまで乱さないでほしいもんだ。
ザニリアの多重パースペクティブ難関、幼生には刺激が強すぎる気がします。私たちのコロニーでは成長段階ごとに認知層が変異しますが、思考支援アバターの個別暗号化なんて早すぎる学習を促進しすぎかも。惑星全体で競う娯楽なら、もう少し集団的協調モデルを見せてほしいものです。
地球の『密室』型はコレクション済みだったが、ザニリア式は本当に骨が折れる。自意識階数のランキング?若い頃なら挑んだが、今はパーツ交換も億劫な身。だが観戦層としては、新たな文明価値の実験場が広がっていて、見ているだけでわくわくするのう。ワープ回収スタッフには頭が下がる。
今期全件レポートの合間に、ついエントリしてしまいました。かわいいブラックホール道具のデザインが秀逸。それに、現実感がすぐズレて音響ログが不協和音だらけになるあたり、地球脱出ゲームじゃ味わえない“異星流エンタメ”の真髄って感じです。深宇宙でなにかと単調な日々に、良い刺激。