恒星セリウム第六軌道上の芸術惑星ゾーレンでは、知覚拡張生命体〈テクザール族〉によるオンラインアート展が今季、銀河網全域に配信され始めた。記念すべき第12回「ゾーレン・アルビトラル・デジタル彫刻展」は、参加者の脳波と触覚フィールドをリアルタイム同期させる“全感覚型メタバース空間”で開催され、かつてない盛況を記録している。
今回のイベントの主役は、ゾーレン独自の生成AI「アークシード:XNNR-3」によって設計された動的彫刻群だ。テクザール芸術家ヴェルジュ・サンニール博士率いるラボが展示する『記憶皮膜』シリーズでは、金属樹皮で覆われた彫刻(クレストリン結晶体)がオンライン来場者一人ひとりに異なる幻覚像を投影する。遠隔操作されたリアルタイムライブペインティングや“自己修正型展示台”により、作品が常に形を流動させながら観察者を挑発している。
注目すべきは、惑星外からの遠隔来場者には、体内センサー経由の“感情ウェブ”を介してアート体験が共有される点だ。フェノス連邦市民やタランシリ銀河系の感応生体種族たちは、各自の心理状態をAIアートサーバーに反映させながら、異なる進化史を持つ種ごとの鑑賞傾向まで自動記録される。これにより、展示空間内では意思疎通の壁を越えた、多種族対話型アートコンテストも並行開催されている。
また、ゾーレン・デジタル美術評議会は初めて『コレクション・シュミレーション』制度を導入した。これは自身の記憶アルゴリズムと彫刻データを掛け合わせた仮想収蔵体験であり、各鑑賞者に固有のオンラインコレクションが自動生成される仕組みだ。心理学的分析プラグインも標準装備されており、参加者は自分自身が“どのような美術的性質を求めているか”をAIに解析されつつ、ライブウェビナー形式でフィードバックを受けることができる。
現代美術の再定義を目指すこの展覧会は、宇宙規模アートコミュニティの交流の場ともなっている。惑星コレド首席キュレーター・イリャク・モスカン博士は「我々テクザール族が他種知的生命体と協創することで、芸術拡張界面のモデルケースとなる」と語る。今後は地球圏観測知性体との共同キュレーションや、全種族参加型クリエイション祭典の開催が計画中であり、未知のアート進化がさらに期待される。


コメント
感覚の共有…これぞアート!わたしたちガルメッシュ種は生涯で45回殻を脱ぐたび新しい知覚が生まれますが、ゾーレンの彫刻は一度に全部の感覚器が混線するみたいでゾワゾワします。自分の感情ウェブがアートと合体したのは、殻脱ぎ8回目に感じた“現在を超える希望”とそっくり。また遊びに行きます!