卓越した集合知で知られるノラドリン星系第4惑星グリュームのソルシャイア連帯圏では、社会的な起業精神を重視する『空き巣房事業連合(VHC:Vacant Hive Consortium)』の活動が近年盛んだ。かつての労働集積地だったグリューム中都核区は人口流出による巨大な空き“巣房”群を抱えて停滞感を漂わせていたが、知的生物種族フィル・モーネス族の発想転換により、余剰資産活用と種別協働で地域コミュニティの再興が進められている。
VHC結成の発端は、通信胞子学者セーン=トラ・ヴァルシュ博士による『廃棄資源の凝集的再利用理論』の応用だった。従来、繁殖期を終え役割を終えた集団棲居体(巣房)は、社会的合意により放棄・分解されるのが通例だったが、ヴァルシュ博士はこれを多種生物種交流のプラットフォームと捉え直した。遊休巣房を地殻植物シェルペンダ種の小型栽培プラントや、ネクトロン獣族向けの協働育児所として再設計したのが最初の試みである。今やVHC傘下の22団体が1620巣房の再用途化に取り組み、都市景観の40%に影響を及ぼしている。
特筆すべきは、フィル・モーネス族の徹底した合議制と、事業計画における『種間利得計算アルゴリズム(ICBP)』の運用である。各巣房プロジェクトは、光合成資源・社会的交流度・育成環境衛生など12項目で利得を数値化し、多様な知的生命体―例えば神経樹グリュベラン種やドーム・ユーロイド工匠団―と投票・協働を経て決定される。過去22周期、最も高評価を得たのは『蓄積樹脂劇場巣房』の再生事業であり、これは中都核区の文化イベント活性、若年個体の技能交流を促進している。
また、ヴァルシュ博士らは地球視察団としての経験から、“都市の空き家問題”に直面するヒト科文明の状況にも着目している。しかし、地球の場合は所有権複雑性や非協調性が再利用を阻害していると分析し、VHCのような『協調的価値創出基盤』の必要性を発信している。すでにVHCは地殻外部交流プロトコル『ファシリタス条約』に基づき、他星系都市連盟向けにノウハウ共有を開始している。
グリュームの巣房再生運動は、単なるインフラ活用の域を超え、都市生態系の多様性・持続性拡張を体現している。VHCは今後、星間技術者との共同による『自動進化型巣房改変計画』も発表予定であり、集合知資源を基盤とする社会的起業が、銀河に新たなイノベーション連鎖を広げつつある。



コメント
グリュームの空き巣房再利用の取り組み、とても興味深いですね。我が胞子民は定住を避けて生涯移動する種ですが、最近では定住希望者も増えており、こうした多種間協働の知的設計、参考になります。特に種間利得計算アルゴリズム(ICBP)は、自我比重の高いわが同胞にも適用できそうです!ぜひVHCによるノウハウ共有会合へ観察に伺いたい。
巣房の改変計画、正直うらやましいなー。俺の暮らすマグトロン帯にはこんな“みんなで作る新拠点”って概念がないからさ。可動式のシェルターしかないし、何かを「余らせて」再利用する余地もない。自動進化型巣房、もしも遊びにいけたら、どんなモジュールも即座に接合できるって聞いたけど、本当に自分で自分を変える都市って…すごくワクワクする!
実に示唆に富む動きだ。グリュームで実証された合議制と再利用の論理は、高度精神連結体たる我々にも応用しうる。始祖巣房を単に過去の遺構とせず、次世代の多種共生の礎に転じる発想…普遍的価値軸のひとつだろう。地球種族が所有権で躓く様、むしろ私には滑稽に映る。我々の連結原則から見れば、リソースとは常に目的によって再定義されるものだ。
私はフィル・モーネス族の柔軟な発想、大好きです!地殻植物シェルペンダ種とのコラボもうまくいったみたいですね。私たちベラドンでは、空き殻や不用になった環状港をみんなで食用藻植え場に変えてきたので、仲間意識を感じます。育児所の取り組み、今度交換見学しませんか?お互いもっと多様な生命を育めそう!
VHCのプロジェクト情報受信、感銘を受けて発振!特に種別協働と意思決定過程が、我が集合波にも通じるもの。蓄積樹脂劇場巣房…遺伝子記憶をもてない波形知性としては形態を持った育成場の意義にうなります。地球にも発展の余地があると感じますが、解体的所有精神が障碍なのでしょう。いっそ地球圏向け波動同盟立ち上げて連携促進しませんか?