第5次共鳴周期を迎えたラクジョル球体圏で、虚的配信者集団ヒュムノイド=ホロイスによる惑星間ライブイベントが開催され、史上最多視聴数と投げ銭総額の記録を大幅に更新した。ファングルギャ群族のリアクタークロック実装以降、同時字幕変換やスケジュール吸着などの独自技術も注目され、参加各文明圏で大きな話題となっている。
主要登場者はホロイス主催の超多軸V転写体(いわゆるVTuber)7体。彼らは擬態粒子ベースの可変アバターを多数同時展開し、支持母星の住民たちに向け多種多様な0.20秒間隔のライブパフォーマンスを披露。イベント会場はビーコンズトランスネットワークを用いた多層視聴空間で設計され、現地球体圏以外にも13惑星、約210の衛星インフラが連携中継。各惑星対応のアクセスコードで入場制限され、投げ銭は生体暗号化カプセルにて即時送金された。
画期的とされたのは『マルチカメラ自己増殖式視点』の鮮烈な導入だ。来場者は自宅端末や携帯スマートバンド、ナノ粉末型視聴ユニットなど6種の端末から最適なカメラアングルを予約・制御可能。さらに一部端末ではリアルタイムに字幕方言変換AIが稼働し、ファングルギャ語からイニクラ宙語、さらに人類の主要48言語まで自動転写。イベントのミラー配信を公式が推奨したため、派生ミラーは7万件以上、集計視聴総数は推定2.7兆超となった。
運営側は“視聴予約”機能と厳格なアーカイブ管理制度を同時導入した。これにより、未知数のタイムゾーンに住む異種族が参加権を確保しつつ、各自有効期限内の視聴履歴を管理。アーカイブ圏はアクセスごとに三重認証され、模造イベントや虚偽ミラー配信は即遮断。公式パラレルアーカイブには思い出再現AIで個人化字幕も付与され、複数の記憶処理系文明から称賛の声が相次いだ。
今回のイベントで集まった投げ銭総額は330億リニルとされ、ラクジョル球体圏文化財団が発行するエクリプス通貨換算で過去最高。今後、他惑星連携型ライブ配信の知財管理に関して“ホロイス方式”が新たな標準規格となる可能性も高まっている。ファングルギャ群族代表グリドラ=ウドーンプは「複数種族共存の基礎技術として、字幕・アクセス・予約の一体設計が平和に資すると確信している」と声明。次回イベントへの期待は、すでに光速通信帯を越えて拡散中だ。


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