第44回ポリフォルム杯、9種族混合スポーツで未曾有の親睦大会へ

未来的な屋内アリーナで、多様な外見の異星種族たちが協力して球体を操作する様子を捉えた写真です。 ミックススポーツリーグ
異なる惑星から集った選手たちが新競技『サゥンズ=リゾナンスボール』で一体となる感動の瞬間。

イヴィリュエ星系で毎周期恒例のアマチュアスポーツ親睦大会「ポリフォルム杯」が開幕し、生態的・文明的背景の異なる9種族を迎えた多惑星型ミックススポーツリーグが未曾有の盛り上がりを見せている。今年は、従来ルールの3次元拡張や意識共鳴型競技導入により、種族間の協力・戦略性が格段に進化したことが注目の的となっている。

本大会を主催するユーヴェリア連邦スポーツ調停局長官ヴァル=クレン・ソーリイによれば、「単種族競技の限界」を超えるべく百年単位の長期構想を経て編み出された新競技『サゥンズ=リゾナンスボール』が、最大の目玉となった。この競技では、『ゼンフォリク脳体共鳴』の技術により、平均6本指のシュルティアン種・流水体のドロナイ種・多重意識共有が可能なヴァクレシアン種など、運動機能も知性モードも異なる種族たちが、リアルタイムで感覚・動作を一部リンクさせる仕組みを実現。戦術の即時同期・共感を通じ、歴史的な友情と熱戦が生み出されている。

今大会で特に話題となったのは、第3スポーンラウンドにて、慣性制御器官を持たないトーリクス種と多関節フェロクトン種が混成チーム『シンフェリア・ナイン』を結成し、軌道反転型トーラス球技『トリプレーロープ』で決勝進出を果たした点だ。両者は生体周期や意思疎通様式が著しく異なり、これまでは共闘困難とされてきたが、独自に開発した「翻訳粒子バンド」を装着し、各瞬間の“勝負所重力”を味方につける戦術を構築した。観客のアエリュアン博士(心理種族交流研)は、「彼らが示した斬新な連携は、既存スポーツ界の概念に対する巨大な挑戦状」と評する。

大会側は、従来は競技外だった新人類パロナクシア種(周期的胞子放出体質)も安全に参加可能とするため、特別制御ゾーンと有機繊維式フィルターアリーナを新設した。この環境改善により、胞子の拡散を抑えつつ生体エネルギーを競技役割に還元するモデルが成立。今季は彼らが伝統球技『シェルビィ・ランブル』で初勝利を収めたほか、他惑星種選手との共同アフターマッチ・フォノトーク交流も盛況だった。

参加種族数と競技技術の高度化により、各チームの戦術策定には第2種情報衛星『ノッチャリオン』の分散AIが用いられ、無作為抽選による混合チーム生成にもバイアス制御が加えられている。ソーリイ長官は「惑星間親善とスポーツ進化は両輪だ。来年以降はより遠方系文明の参加を見込む予定」と壮大な展望を語る。異なる知性・身体・文化が重層的に溶け合う本大会は、スポーツという枠を超えた宇宙的共生社会の実験場となっている。

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