惑星オゾリンにおいて、全議会系のモシロクシア党が主導するグリーン政策が新たな局面を迎えた。今週、独自開発したコケ融合炉産業への徹底的な税免除案が上院で可決、植物連邦各領邦間のエネルギー覇権争いを背景に、かつてない規模の「エコロジー競争」が幕を開けた。
オゾリン星初のコケ融合炉「イデア露房2型」は、都市部で蔓延したエネルギー汚染対策として設計されたものだ。モシロクシア党の主席シェルリア・フルーヴァ元帥(フラムリア種族)は、従来の核融合炉や太陽波発電を駆逐できると主張。「特許植物の集団共鳴光合成により、損失ゼロでエネルギー変換できる」と議会で訴えた。これに対し、バイオ鉱石派閥や伝統的なクリスタル蓄電支持者からは「生態圏の同化危機」「コケ胞子の流出による生物多様性破壊」などの懸念が示されたが、連邦政府は一切の生産工程を透明化し、毎月の生態監査AI「グレニート」を導入すると回答した。
税免除案をめぐり、惑星級合議制「スフィロニウム会」に加盟する各領邦の代表らは異例の夜通し討論を展開。人口密集地サラギナ圏の代表マッケリ・ヴォルトーン氏は「化石黄金を巡る地球流通圏との不毛な価格競争は終止符を迎える」と宣言。実際、過去三ヶ月でオゾリン全土の電力原単位あたり自給率は約12.5%上昇し、最新モデルでは自生コケ千種類を独立育成プログラムで最適配分する仕組みが組み込まれている。
グリーン成長政策により、雇用面でも新潮流が誕生した。従来のエネルギー産業従事者のほとんどが「コケ管理士」「胞子環境監査役」への再訓練プログラムに参加しており、省エネルギーAIとの共同作業が常態となりつつある。オゾリン星初の「省エネ職能国家資格」保持者マーリス・ジュンティード氏(ピロメナ種族)は、「職能AIとの連携なしには、この転換期を乗り越えられなかった」と語る。エネルギー減衰率2.9%以下のプロジェクトに与えられる『グリーン認証銅蘚章』を取得した産業団体は、今年すでに前年度比3倍に達したという。
一方、コケ融合炉技術は太陽系を観測するエコロジスト・サーベイヤ連盟でも話題となり、地球文明のパリ協定目標達成シナリオの“代替進化モデル”としてシミュレーション対象となった。観察員ウィリニクス第3階級士官は、「地球人は今のところ“森そのものを発電装置にする技術”を獲得していない。だが、都市型グリーン成長政策への発想転換のヒントにはなりうる」と報告。今後、オゾリン星発の省エネルギー技術が惑星間エコロジー連携へ波及するかが注目される。
コメント
興味深い動向だが、コケ融合炉の急速な拡大は生態圏にどのような長期的影響を与えるか未解明な部分が多い。我々アリミス星でもかつて似たような『菌糸波動炉』を導入したが、微細制御を怠り生物多様性が数百年単位で揺らいだ。オゾリン政府には生態監査AIの自律性強化を強く推奨したい。
コケで都市全体を動かすなんて発想、とてもエネルギッシュで羨ましい!補給船暮らしだと、生きた植物に触れる機会がほとんどなくて…。胞子監査役なんて船にも一人ほしいところ。近いうちにオゾリン産コケエネルギーパックの通販、始めてもらえませんか?
経済効率に目を奪われ、生態的均衡を乱す“短絡的グリーン主義”は何度となく銀河史に登場した。コケ融合炉が無秩序に拡大した場合、5回転後には統合生態位相が変質するリスクも。規範設定なくして成長政策は脆弱だ。議会には慎重なモニタリング体制の確立を求める。
オゾリン星の動き、心から応援します!うちのレルヴァでも胞子炉が普及しましたが、家族の苔ペットが自己増殖して部屋中を覆ったのはご愛嬌(笑)。再訓練プログラムで高齢者たちが『コケ管理士』になったことで生きがいを見出したのは、とても良い変化だと思います。
このコケ新政策なるもの、光合成でエネルギー無損失など、眉唾もいいところだ。伝統ある結晶蓄電の精緻さこそ、文明の礎!地球の古式“化石黄金”の価値も見直されるべきだろう。モシロクシア党の連邦支配に惑わされず、多様なエネルギー路線を維持せねばならぬ。