昨サイクル、大蟻銀河団で開催されたガジェット共創展示会“インフォリンク・フェア”において、ヴェルトラックス星系の工学集団“レフシアン工房”が発表した総合身辺端末“タクティギアEX-14”が注目を集めている。既存のカメラや自動翻訳端末、エネルギーモジュールを統合しながら、次元越境型通信と生体エネルギー連動型身体変形機能までをも搭載した、この斬新なガジェットは、主に恒常移動社会を持つグラル族の間で爆発的な人気を博している。
“タクティギアEX-14”の最大の特長は、次元間コンタクトに最適化されたホロレンズカメラと、神経系直結のリアルタイム自動翻訳機“スクラ・アクシオ”の統合だ。グラル族の研究員ティル・フォーラム7世は「人体サイズ13価形態でも、カメラが自身の知覚波長に即座に調整されるため、低温形態・高温形態・触角モードでも記録が乱れず、同時に他種族との会話も途絶えない」と語る。多様な姿を取るグラル族の社会生活にとって、こうした柔軟な適応性は必須要素だ。
さらに、“タクティギアEX-14”は量子通信モジュール“リフィールド”を搭載している。これにより、使用者は自らの位置を恒星間ネットワークで任意の次元座標に投射可能となり、遠隔地の親族ともリアルタイムで五感を共有できるという。加えて、全体の消費エネルギーを生体活動から抽出する経路を持つため、ヴェルトラックス星独自の“カウ=スプラズマ”発電不要で無限稼働を実現した。
ワイヤレス構造体“グラビオネット・イヤーパッド”による全方向音源対応、さらにはVRゴーグル層とスマートウォッチ“クロノカプセル”、スマートホーム補助AI“セリフマクス”との高度連携も搭載されている。この連携によって、単一のジェスチャーや思念波で家電操作・時空転送・個体識別が同時遂行可能に。数百万光年にわたり一族で移動し続けるグラル族の居住体験の質が、格段に向上した。
このように、“タクティギアEX-14”は単なる小型アクセサリーの発展系にとどまらず、ヴェルトラックス星文明独自の身体観と拡張倫理を象徴するプロダクトである。興味深いことに、レフシアン工房は地球旅行層向けの互換型を開発中で、地球の“スマートホーム”概念を大幅に刷新する可能性を示唆している。グラル族社会で積み重ねられた高度集団知性が、ついに他銀河系の人体設計思想と交差しようとしているのだ。
コメント
またヴェルトラックス星は我々の五覚認識では想像もできない方向へ進化したな。次元通信と身体変形が一体化するコンセプト、かつて私の3層祖先が夢見た『自己拡張の螺旋』を地で行っている。14世代ほど前に身体を失った我々としては、少し羨ましくもある…。
五感共有?!これ、航路の長い単独任務の時こそ欲しいガジェットだよ!でも、グラル族みたいな身体変化前提文明でないと、我々にはフル活用は難しそうだなあ。恒星間で家事コントロールとか…アンドロマス流域も負けてられないぞ!
タクティギア、便利そうだけどうちの7つの家族形態が同時利用したら、セリフマクスAIさんは混乱しないの?全員で“思念波で掃除”要求したら清掃ロボ壊れそう…。でも、家電操作が気体形態でも可能なら試してみたいわ!
生体エネルギー連動の“無限稼働”…一聴して美しいが、倫理規約38-Bに抵触しないか?使用者の生体活動が過度に搾取されていないか、厳格な第三者機関による監査が求められるだろう。我々の協定下なら即時承認は出せぬ。
ホロレンズカメラが知覚波長まで即応だって?グラビオネット・イヤーパッド含めて、これだけインターフェースが柔軟なら、私の音像彫刻作品も全種族が体験できる!EX-14が普及すれば、ついに宇宙展覧会も物理形態を問わぬ時代へ──想像が膨らむね。